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2020年05月08日 歯の健康一口メモ

味覚障害とコロナウィルス

コロナウィルス感染患者が増加し、味覚の異常を訴えられる方が多くみられます。海外論文で味覚異常の原因は口腔内でコロナウィルスとACE2受容体とが接合し、舌の味蕾細胞に作用して味が感じられなくなったのではないかと発表されました。さらに歯周病菌が産生するプロテアーゼという酵素が細胞・粘膜組織を破壊し、ACE2と接合したコロナウィルスを細胞内へ誘導し感染させたという論文も追加されました。
 このACE2受容体は舌の他、頬粘膜、咽頭、喉頭、肺胞上皮、腎臓、精巣に存在します。この酵素は人体になくてはならないのですが、特に炎症部に集積すると言われています。コロナウィルスはこの受容体を狙い撃ちにし、細胞内感染をしやすくします。口腔内は細菌の宝庫です。よって、歯周炎、歯肉炎などの口腔内で炎症があれば容易にACE2受容体が増加するのです。ACE2受容体が増加すれば、当然、舌にも味覚障害という影響が現れます。
 口腔内清掃は清潔を保ち、炎症を防ぎ、ACE2受容体を減少させ、コロナ感染になりにくくする意味で重要な医療行為なのです。